AIの有料プランを使っていて、上限に達してしばらく使えなくなった経験はないでしょうか。月額の定額プランにも、実は 使える量の上限 があります。

この上限の 数え方 を、AI大手の2社が同じ週に変えました。

  • Anthropic(Claude):10月30日、月200ドルの最上位の個人プランを「Max 20x」から 「Ultra」 に改名し、認証済みのアカウントでは 5時間ごとの上限をなくしました
  • OpenAI(ChatGPT):11月1日、ChatGPTとエージェント機能「ChatGPT Work」の統合を発表。12月から、ChatGPTとCodex(AIのプログラミング支援)の利用枠を1つにまとめる 予定です

どちらも「使い放題になった」わけではありません。変わったのは、上限の 区切り方 です。

何が変わったのか

Claude:最上位プランから「5時間の壁」が消えた

Claudeの有料プランには、5時間ごとの上限 と 週ごとの上限 の2つの区切りがあります。短い時間に集中して使うと、5時間の区切りで一度止まる仕組みです。

10月30日、Anthropicは公式Xで個人向けプランの改名を発表しました(ITmedia NEWS)。

  • 月100ドルの「Max 5x」→ 「Max」、月200ドルの「Max 20x」→ 「Ultra」。料金は据え置きで、今の契約者は手続き不要です
  • Ultraの認証済みアカウントは、5時間ごとの上限がなくなりました。週の上限の範囲内なら、自分のペースで使えます
  • 比較的新しいアカウントは、不正利用を防ぐため、認証が終わるまで一時的な制限が残ります。認証はアカウントや支払いの履歴などをもとに自動で行われます
  • 週ごとの上限は変わりません。Ultraは「Proの10倍の利用量を、週ごとに」使えるプランです(Claude ヘルプセンター)

ChatGPT:12月から、ChatGPTとCodexが「1つの財布」に

ChatGPTでは今、ふだんのチャットと、エージェント機能の「Work」・Codexとで、利用枠が分かれています(WorkとCodexは共通の枠)。

11月1日、OpenAIはWorkのエージェント機能をChatGPT本体に統合すると発表し、12月から、ChatGPTとCodexの利用枠を共通にする 予定だと明らかにしました(ITmedia AI+)。

  • 報道によると、対象は Plus・Pro・Business の各プランです(Unite.AI)
  • 量は トークン(AIが読んだり書いたりする情報の量を測る単位)で数えます。性能の高いモデルや複雑な作業ほど、多く使います
  • 即答モードの 「Instant」は、この枠を消費しません
  • 残りの量とリセットの時刻は、「設定」の「使用状況」で確認できます
  • 上限に達したら、リセットを待つか、上位プランに替えるか、クレジットを買って使い続けるか、を選びます
  • OpenAIは、ほとんどの利用者にとって、リセットを待つ回数が今より増えることはない見込み だとしています

2社の変更を並べると

Claude(Anthropic)ChatGPT(OpenAI)
何が変わる月200ドルの「Ultra」(認証済み)で、5時間ごとの上限をなくした12月から、ChatGPTとCodexの利用枠を1つに
残る上限週ごとの上限(Proの10倍)共通の枠(リセットあり)。量はモデルや作業で変わる
対象Ultraだけ。Free・Pro・Maxは5時間ごとの上限が残るPlus・Pro・Business(報道)
残量の確認設定 → 使用量設定 → 使用状況

冷静に見ておきたい3つのこと

  1. 使い放題ではない:Claude Ultraには週の上限が残り、Anthropicは容量の管理や公平のために 追加の上限をかけることがある としています。ChatGPTも、枠が1つになるだけで、上限そのものは残ります
  2. 5時間の上限が消えたのは、月200ドルのUltraだけ:Free・Pro・月100ドルのMaxには、5時間ごとの上限が残ります。Ultraでも、新しいアカウントは認証が終わるまで一時的な制限があります
  3. ChatGPTの12月の中身は、まだ見えていない:報道によると、12月の具体的な開始日や、プランごとの枠の大きさは、まだ示されていません。「リセットを待つ回数が増えない」は、OpenAIの 見込み です

もう1つ、名前の数字にも注意が必要です。旧名の「Max 20x」の「20倍」は 5時間あたり の比較で、新しいUltraの「10倍」は 週あたり の比較です。基準が違うため、単純には比べられません(ITmedia NEWS)。

なぜ、中小企業の話なのか

AIを「たまに質問する道具」として使っているうちは、上限はあまり気になりません。ところが、資料作り・調べもの・プログラムの修正などを まとめてAIに任せる ようになると、上限は仕事の段取りそのものに関わってきます。締め切りの直前に上限で止まれば、その日の予定が崩れます。

今回の2社の変更は、方向が似ています。時間ごと・機能ごとの細かい区切りを減らし、一定期間に使える量を、利用者が自分の配分で使う。自由度は上がりますが、裏を返せば、重い仕事を一気に詰め込むと、次のリセットまで財布が空になる ということでもあります(この節は本記事の見方)。

上限の区切りが変わる今は、「どのプランが一番安いか」だけでなく、自社の使い方に合う数え方はどれか を見直すよい機会です。

契約を見直す前に確かめたい3つ

① 「○倍」は“何あたり”かを確かめる

  • 上位プランの宣伝文句にある「Proの5倍」「10倍」は、5時間あたりか、週あたりか で意味が変わります。Claudeの場合、月100ドルのMaxは「Proの5倍を5時間ごと・週ごとに」、月200ドルのUltraは「Proの10倍を週ごとに」です(Claude 料金ページ)
  • 上位プランに替える前に、今のプランで、どの区切りで止まっているか を確かめましょう。5時間の区切りで止まるなら、Ultraの「5時間の上限なし」(認証済みの場合)が効きます。週の上限で止まるなら、効き目は「週あたりの量」で比べます

② 軽い会話と、重い仕事を分ける

  • ChatGPTでは12月から、即答モードの Instantは枠を使いません。一方、性能の高いモデルや、エージェントに任せる複雑な作業は、共通の枠を多く使います。ちょっとした確認や言い回しの相談は、軽いモードで済ませるのが節約になります
  • Claudeでも、最上位モデルのFableは、Max・Ultraで 週の上限の半分まで という別の枠があります。「何でも最上位のモデルで」は、枠を早く使い切るもとです

③ 残量の見る場所と、尽きたときの手を先に決める

  • 残りの量は、Claudeは「設定」→「使用量」、ChatGPTは「設定」→「使用状況」で見られます。大事な作業の前に、残量を見る習慣 をつけると、締め切り前に止まる事故を減らせます
  • ChatGPTは、上限に達したら「待つ・上位プランに替える・クレジットを買う」の3択です。締め切りのある仕事を任せるなら、どこまでなら追加でお金を払うか を、事前に決めておくと迷いません
  • 会社で複数の人が使うなら、契約の種類も確認しましょう。AnthropicはUltraを 個人向けのプラン と位置づけ、組織にはTeam・Enterpriseのプランを案内しています

まとめ

AIの定額プランは、「使える回数」を時間で細かく区切るやり方から、「一定期間に使える量」を自分で配分するやり方へ、少しずつ移り始めています。

区切りが減るのは、AIに仕事をまとめて任せたい人にとって前進です。ただし、使い放題になったわけではありません。“何あたり”の上限かを確かめ、軽い仕事と重い仕事を分け、残量を見ながら使う。この3つを押さえておけば、プランの名前や数字が変わっても、慌てずに済みます。


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参考

本記事は複数の公開情報をもとに作成しています。料金は各社の公式表示(米ドル)で、プランの内容や上限は今後変わる可能性があります。